会社員の割合と定年年齢の歴史、昔はもっと若い年齢で定年だった

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人生100年時代
2005年2月 グアム

そもそも定年は何歳? 昔も定年はあった? ふと定年年齢について調べたくなりました。若い頃は気にしていませんでしたが、自分が定年近くになると興味がわいてきました。定年制度は、昔に比べて大きく変わっています。定年の歴史や諸外国との比較です。

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会社員の割合は、なんと9割!

そもそも日本で働いている人たちの中で、会社員の割合はどのくらいなのでしょうか?素朴な疑問を持ち、会社員の割合を調べてみました。

総務省統計局のデータによると、日本の総人口は2021(令和3年)7月1日現在で1億2,568万2千人です。そして働いている就業者の人数は、同じく総務省統計局の「労働力調査(基本集計)」によると 6,711万人です。このうち雇用者は、5,992万人なので、およそ9割の人が会社員ということになります。なんと働いている人の9割が会社員なのです。これには驚きました。これほど会社員が多いとは思っていませんでした。

総人口のデータ
総務省統計局のホーム → 統計データ → 人口推計 → 人口推計(令和3年(2021年)7月確定値,令和3年(2021年)12月概算値) (2021年12月20日公表)

統計局ホームページ/人口推計(令和4年(2022年)12月確定値、令和5年(2023年)5月概算値) (2023年5月22日公表)
各月1日現在の日本の人口について、最新の推計結果を掲載しています。

就業者、雇用者のデータ
総務省統計局のホーム → 統計データ → 労働力調査 → 調査結果目次 → 過去の結果の概要 → 2021年7月分

統計局ホームページ/労働力調査 過去の結果の概要
総務省統計局、統計研究研修所の共同運営によるサイトです。国勢の基本に関する統計の企画・作成・提供、国及び地方公共団体の統計職員に専門的な研修を行っています。

1959(昭和34)年は、雇用者の割合が 50% くらいでした。かなり急激に「サラリーマン化」が進行してきたことがわかります。

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定年年齢の歴史

日本における定年制の歴史を調べました。2020年現在、60歳で定年退職としている会社が多く、希望者は65歳まで再雇用として働くことができます。年金が支給されるのが65歳からなので、その間は働こうと思えば働けます。ただ再雇用になると、給与は新人と同じくらいです。現役時代の半分程度と大幅に減額されてしまいます。

高齢者の雇用についての法律は、法律が成立した後、数年先に施行されます。多くの民間企業が、すぐには対応できないためです。最初の法律では「努力義務」とし、数年先に「義務化」になります。定年年齢は、人生を左右する大きなことであり、企業にとっても人事管理の面で重要事項です。法律ができたらすぐに実行できるものではありません。参考に日本の定年年齢の推移です。

日本の定年年齢の推移

明治時代 50歳

昭和初期 55歳

1986(昭和61)年 60歳 努力義務(1998年に義務化)

2013(平成25)年 65歳までの継続雇用を義務化(再雇用制度)

定年の年齢は、法律では下限のみを定めています。そのため会社ごとに定年年齢が異なります。2022年現在は、60歳で定年退職し、65歳まで再雇用として働くケースが多いです。しかし再雇用は「新人並みに給与が下がる」のが一般的です。およそ現役時代の半分以下になります。それでも働ける場所があるだけでラッキーなのかもしれません。

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外国の定年年齢

日本の企業の多くは60歳になると定年退職です。しかし海外は異なります。アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなどは原則として定年制が禁止されています。「年齢により差別してはいけない」という考え方です。本当の意味での実力主義なのかもしれません。しかし公共交通機関のドライバーや警察官など、仕事に体力が直接影響する職種は、例外的に定年制度が設けられているようです。

参考に各国の定年年齢です。

定年なし
アメリカ、インド、ドイツ、オーストラリア、ブラジル、インドネシア、メキシコ、イタリア、ロシア、スペインなど

60歳
日本、韓国、マレーシア、タイ、中国、ベトナムなど

70歳
アルゼンチン、フランス、ポルトガルなど

私は50歳を過ぎてから、「早く定年になって老後をゆっくり楽しみたい」と考えていました。定年までは我慢して働こうと思っていたので、定年年齢が遅くなるのは嫌でした。まして定年がないということは、一生我慢して働かなくてはならないのです。それはそれで嫌すぎます。理想は早く定年になって、早く年金が支給されることです。

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厚生年金の支給開始年齢

定年制度は、公的年金の支給開始年齢と関係しています。年金がもらえるなら、定年退職で無職になっても生活できます。しかし定年の後に、長期間年金がもらえないとしたら、生活が破綻してしまいます。

そこで年金の支給開始年齢を調べてみました。2022年現在は、原則として65歳以上から公的年金が支給されます。

日本の年金支給年齢の推移

1942( 昭和17)年 男性のみ55歳から年金支給

1944( 昭和19)年 男性、女性、全員が55歳から年金支給

1954( 昭和29)年 男性は60歳へ引き上げ、女性は55歳のまま

1985( 昭和60)年 男性は65歳、女性は60歳へ引き上げ

1994( 平成6)年  老齢厚生年金の定額部分(加入月数比例 1階部分)
男性65歳、女性65歳へ引き上げ

2000( 平成12)年 老齢厚生年金の報酬比例部分(給与比例 2階部分)
男性65歳、女性65歳へ引き上げ

年金制度は、とても複雑です。法律の成立日から、実際に開始されるまでの間に「移行期間(12年~18年)」が設けられています。

また老齢厚生年金については、1階部分に相当する定額部分と、2階部分に相当する報酬比例部分があります。男性と女性で、年齢によって年金受給時期が違っていた歴史もあり複雑になっています。

参考に、外国の年金支給開始年齢は、次のとおりです。いずれも年齢の引き上げが検討されています。

海外の年金支給開始年齢

アメリカ 66歳
ドイツ 65歳
フランス 60歳
イギリス 65歳

日本と、ほぼ同じですね。

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2020年現在の定年退職の年齢

厚生労働省「就労条件総合調査」(平成29年)によれば、定年年齢を60歳としている企業が8割です。定年の年齢を65歳としている企業は16%ほどです。ほとんどの企業が、国の法律に準じて(最低ラインで)定年年齢を定めています。

企業の経営を考えれば、「定年年齢を上げたくない」のが本音でしょう。定年年齢を上げれば、人件費が膨らんでしまうから当然です。給与が高くて残り数年しか働けない人より、少ない給与で会社のために長く働ける若い人を優先するのは自然の考え方です。

例えば民間企業の売り上げが減り、経営不振になった際は、早期退職やリストラが検討されます。経費を削るためには、固定費のうち大きな割合を占める人件費を減らすのが、最善の方法なのです。赤字に転落した大企業が、大規模なリストラ計画を発表するのは珍しくありません。

「中高年の人は、早期に退職してもらいたい」と考えるのが組織として自然なのです。

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なぜ定年がある?

組織を経営する人たちは「人件費を減らしたい」と常に考えています。人件費を減らすためには、中高年の人に退職してもらうのが一番効率的です。

定年制度は、人件費を減らす(抑制する)ために必要なのです。体力の衰えた高給取りの中高年は退職してもらい、若い人を採用して人件費を安くしたいと考えるのです。そのため多くの企業が、法律の最低ラインで定年制度を運用しています。

定年制度の目的は、組織を「継続的に成長させる」ためです。年齢の若い人を計画的に採用し、優秀な体力のある人材を常に維持することが重要なのです。

年をとれば働ける場所が限られてきます。高齢者を喜んで採用する職場はないです。当然のことながら、「退職した後も働き続ける」方が有利なわけです。しかし企業から見れば、高齢になり体力が衰え、アイデアも沸かない中高年の社員へ給与を払うよりも、若くて体力も知力もある社員へ給与を払いたいのです。柔軟な発想で、斬新なアイデアを出せる若い人の方が良いのです。

組織を発展させ維持させるためには、若い労働力が欠かせません。そのために定年制度は必須なのです。

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