自動車ボディの小さなヘコミを、デントリペアで補修する方法です。デントツールを500円で自作し、レガシィB4のヘコミに挑戦しました。初めてのデントリペアは想像以上にむずかしく、成功したのか失敗したのか微妙でした。ヘコミが広がってしまいました。
レガシィB4の小さなヘコミ
レガシィB4の右フェンダーとドア部分に小さなヘコミが見つかりました。
隣に置いていた自転車が、強風でレガシィの方へ倒れ、自転車のハンドルが当たってしまったようです。下の写真の赤丸部分が、エクボのようなヘコミです。
しかも強風で、同じ日に2回も自転車が倒れ、ヘコミが2箇所できてしまいました。
ヘコミは、近くで見ないと気付かない小さなものです。しかし愛車のヘコミは、見るたびに気になります。特に洗車後は、光の反射でヘコミが強調され、よけい気になります。
そこで安く修理する方法をネットで調べました。すると、板金塗装せずに修理する方法としてデントリペアがありました。デントリペアという言葉自体は聞いたことがあるのですが、くわしく知りません。早速ネットで調べました。
デントリペアは、デントツールという特殊な工具を使います。ヘコミ部分を、裏側から少しずつデントツールで押し出して補修します。Yutubeの動画で「デントリペア」を見ると、デントツールという先の曲がった長い棒を、何度かひねるだけでヘコミを簡単に修理していました。
動画を見ると簡単そうです。これなら、デントツールさえ入手できれば自分でもできそうです。
デントツールが高いのにはビックリ!
簡単にヘコミを修理してしまうデントリペアです。その道具として必要なのがデントツールです。早速、安いデントツールをネットで探しました。
ところが、1本だけのデントツールから、長さなどの種類の異なるデントツールが10本くらいセットになったものまで様々です。安いデントツールでも、中古で1本8千円、新品なら1万2千円です。ただの棒にしか見えないので高く感じてしまいます。(実際には、いろいろなノウハウが凝縮されているのだと思いますが・・)
デントツールは、少し先の曲がった鉄の棒にしか見えません。それにしてもデントツールは高いです。「タダの細い鉄の棒」に見えるデントツールです。おそらく普通の鉄の棒とは違い、特殊な材質で加工してあるために値段が高いのかも知れません。
デントリペアは、デントツールをひねることで、裏側から押し出してヘコミを補修します。ある程度硬くないと、ひねりに耐えられず、機能しないはずです。外見は先の曲がった鉄の棒ですが、特殊な加工になっているのかもしれません。
私としては、3千円くらいの中古のデントツールが欲しかったのですが、ネットで探しても見つかりませんでした。中古で8千円のデントツールは、初めて挑戦するには少し躊躇する高い値段です。ヘコミ修理に失敗したら、8千円損することになります。
デントリペアを独学で学ぶ
私は、あと3年で60歳の定年を迎えます。現在、定年後の再就職をどうしようか模索中です。どうせなら、今までと違う仕事をしたいですし、可能なら何か起業したり、開業したいです。
デントリペアをネットで調べると、技術を習得すれば開業もできるとの情報がありました。Yutubeの動画を見ると、デントリペアなら、腕一本の技術力勝負で商売できそうです。定年後の開業に良いかもしれません。そこでデントリペアの技術を習得する方法を調べました。
デントリペアを本格的に受講するとなると、1日参加するだけで5万円必要でした。当然ながら1日だけでは不十分で1週間ほど受講しなければなりません。20万円以上の講習料金となると、試しに受講できる金額ではありません。私には高すぎて無理でした。しかし、もし開業を決断して受講するなら、けして高くない講習料金です。技術をマスターできれば一生の財産になります。
お金のない私は独学でデントリペアに挑戦することにしました。
デントツールを500円で自作して試す
正式なデントツールを新品で購入すると、一万円以上の出費です。タダの鉄の棒ではなくて、おそらく特殊な加工が施されているのだと思います。しかし、ほんとにそうなのか、試したくなります。そこで、タダの鉄の棒が、デントツールとして使えるかどうか試すことにしました。
早速、近くのホームセンターへ行きました。
まず、細くて長い鉄の棒を探します。すると鉄の棒がたくさんありました。
値段も150円から500円くらいで安いです。タダの鉄の棒(商品名は鉄のポールと書いてありました。)なので安いのでしょうか。
上の写真の285円のポールと、その下の358円のポールのどちらにしようか迷いました。285円のポールは長さが短いので、358円の長いポールを買いました。
長さや太さの異なる鉄のポールが多数ありました。デントツールとして使えそうなのは、長さ60センチの鉄のポールでした。
それと、ポールを(デントツールとして)差し込むときに、車のボディを傷つけないよう、すき間に差し込む薄いゴムシートを買いました。またポールの先端が尖っているので、先端に巻くビニールテープを一緒に購入しました。
用意したのはこれだけです。
鉄のポールとゴムシート、ビニールテープで総額500円でした。
では、デントリペアに挑戦するヘコミ部分の確認です。右フェンダーのヘコミです。
少し離れ、このくらいの距離ならヘコミもわかりません。
左上のドアに写る自転車が、ヘコミの犯人です。
いよいよデントリペアに挑戦
デントツールが揃ったので、いよいよデントリペアに挑戦です。
最初に、デントツール(鉄のポール)の曲げ角度を調整します。
右フェンダーのヘコミを、裏側から押せる位置を測り、鉄のポールの先の方を少し曲げて角度をつけます。角度をつけることで、ヘコミの位置で鉄のポールをひねると、曲がった先の部分がヘコミに当たり押し出すことができます。
ヘコミの位置へデントツールを差し込める隙間を探します。今回は、ボンネットを開けて、フェンダーの隙間からデントツールが入りました。
ヘコミ位置を確認し、デントツールの先端から5センチくらいの位置を少し曲げて角度をつけます。先端部分を曲げる方法は、道路の雨水を流す溝にある、スチール製のフタなどを利用します。スチール製のグレーチングにポールの先端を挟んで、足で軽く踏めば簡単に曲がります。一度に曲げようとせず、位置を確認しながら少しずつ曲げると良いです。
デントツールの先がヘコミの位置に届いたら、デントツールを少しずつひねり押し出します。ゆっくりと、ヘコミ部分を見ながら繰り返しひねります。
なんと! ヘコミが広がってしまう!
最初はデントツールをひねっても、ヘコミ部分に当たっている感じがわかりませんでした。
ひねる力が弱いのかと思い、少し強くひねったところ、なんとヘコミからずれた位置を逆に押し出してしまいました。ヘコミの周りが、波打つように逆に膨れてしまいました。数回繰り返すと、小さなヘコミが広がってしまいました。さざ波のように見えます・・・
実際に行うと、デントツールの先端で、ヘコミ位置を探し当てるのが難しいです。手探り状態なので、デントツールをひねって裏側から押しても、ヘコミ部分へ正確に当たらないのです。
あげくの果てが、上の写真のように「波打つニキビ顔のフェンダー」になってしまいました。
見る角度によっては光が乱反射して、ヘコミが目立たなくなりました。しかし、これは成功なのか、失敗なのか、かなり微妙です。
初めてデントリペアを行ったときの反省点
デントツールの自作は、500円と安上がりでした。実際にデントリペアを実施して感じたこと、反省点は次のとおりでした。
◯ヘコミ部分が直接見えないボディの裏側は、ヘコミ部分へデントツールを正確に当てるのがむずかしい。
◯ヘコミ部分以外のところを押し出してしまう。
◯デントツールをひねる力加減がむずかしい。あせらずに少しずつ時間をかけて、弱い力でひねる方が良いかもしれない。撫でるような感じです。
◯デントリペアは、最初から成功するような簡単なものではない。高い技術力を身につけるためには数多くの経験が必要。
◯どこかに捨ててある廃車などで、実際にいろいろな部分のヘコミを修理する経験を積まないと開業は困難。
◯プロのデントリペアは、すごい技術力。経験が豊富でないと商売にはならない。