田舎の「畑」を有効活用する方法です。高齢な両親にとっては、畑を管理するのも大変です。2019年9月、太陽光発電システムの会社から、土地を賃貸すれば収益になる話がありました。20年間で84万円の利益になります。しかし結果的に断念しました。
「太陽光発電」会社が土地を探してる
2019年9月28日(土)、田舎で暮らす高齢な両親に会いに行きました。東京から車で3時間ほどの距離です。今年90歳になる父は、自分たちで食べる米や野菜を作っています。母は歩くのが大変そうで、家事ができません。90歳の父親が代わりに、毎日家事をしてます。やはり高齢になり、身体は大変そうです。
昼食を終えた後、父から、見てもらいたいものがある、と頼まれました。それは封書でした。中には「太陽光発電のための土地を探してます。」と書いてあり、具体的に父の名前と、畑の所在地まで書いてありました。
父の話では、ここ数年、近所の人たちも、太陽光発電会社へ畑を売っているらしいのです。120万円くらいで、使ってない畑を売っているとのことでした。
封書に書いてある畑は、実家から50mほどの距離です。野菜作りに適した800㎡ほどの畑です。しかし父は、その隣の畑で野菜を作っているため、今は何も使ってません。父としては、太陽光発電会社へ畑を貸して、収入が得られるなら、話を進めたいようです。畑の管理が大変なので、貸して管理を任せたいとのことでした。そのため封書に書いてある会社が、信頼できる会社か確認して欲しいというものでした。
「信頼できる会社」か調査
封書をスマホで撮影し、東京の自宅へ帰りました。早速、太陽光発電会社を調べました。ホームページを見ると、全国展開している会社でした。太陽光発電パネルの施工実績も多数ありました。また、インターネットの検索サイトで、会社名に続けて、評判、口コミ、迷惑メール、詐欺などのキーワードで検索しました。いずれも問題ありませんでした。
そこで、まずは電話して、話を聞くことにしました。まだ100%信頼しているわけではありません。土日の電話問い合わせは、「代理取り次ぎ」だけなので、月曜日に電話することにしました。
初めての電話で話を聞く
月曜日になり、封書に書いてある無料通話の番号へ電話しました。担当者が席を外しているので、折り返し電話するとのことでした。
2時間ほどして、太陽光発電会社の女性の担当者から電話がありました。最初に会社の説明がありました。太陽光発電システムの設置工事や、太陽光発電事業を行いたくても、土地を持ってない人への紹介を行う会社でした。
早速、「父親の畑を貸す方向で検討したい」と伝えました。女性の担当者から、「実際に田舎へ行き、候補の「畑」を見てから、賃料などを提案したい」とのことでした。
また、現在は、地目が「畑」なので、固定資産税が相当安いこと、もし太陽光発電パネルを設置する場合には、地目を「畑」から「雑種地」へ変更する必要があること、大幅に固定資産税がアップするとの説明がありました。
地目の変更が可能か、固定資産税がどれほど上昇しそうか、女性担当者に市役所へ確認してもらい、連絡をもらうことにしました。
3日後、女性担当者から電話がありました。市役所から、次の確認が取れたと連絡がありました。
地目を「畑」から「雑種地」へ変更することは可能。
固定資産税は、およそ年間6万円程度になること。(現在は年間900円)
賃料は、固定資産税の2倍、年間10万円から12万円くらいを検討したい。
田舎の「畑」を実際に見てから、具体的に提案したい、とのことでした。打ち合わせを、東京で1週間後に行うことを決めました。それまでに女性担当者が、田舎の畑を見に行く、とのことでした。
女性担当者との「打ち合わせ」
2019年9月19日、新宿駅近くのファミリーレストランで、太陽光発電会社の女性担当者と打ち合わせしました。打ち合わせ内容は、次のとおりでした。
正式に契約するかどうか、9月末までに決めて欲しい。
地目を「畑」から「雑種地」へ変更すると、固定資産税は、およそ年間66,000円(現在は畑のため、800㎡で、固定資産税は年間900円)
地目の変更手続きは、すべて会社側で行う。
年間賃料は、108,000円。期間は20年間。
年間の収益は、年間賃料108,000円―固定資産税年間66,000円=年間収益42,000円
20年間の収益は、年間42,000円✕20年間=840,000円
契約の相手方は、個人の投資家。会社は仲介するのみ。
契約締結後、太陽光発電システムが認可されるまで1年間は必要。収益は1年後から、その間は従来通りに畑の管理が必要。
太陽光発電システムが認可された後は、畑の管理は、個人投資家が行う。管理責任は、すべて個人投資家が負う。雑草管理や近隣からのクレーム対応も、すべて個人投資家が行う。
太陽光発電システムを設置する前の、地目変更手続き、申請手続き、近隣住民への説明などは、すべて借り主と会社側で行う。貸主は、一切の負担がない。ただし土地の権利証がないと、再発行費用が必要になる。また、畑に除草剤を撒いて良いか確認しておいて欲しい。
地元企業からの提案
翌日2019年9月20日、田舎の父へ電話して、概要を伝えました。すると、ちょうど同じタイミングで、別の太陽光発電の会社へも、見積もりをお願いしていたとのことでした。別の会社は次のとおりでした。
会社自体は、田舎の地元企業。近くの知り合いから紹介を受けた会社。
父の知り合いも畑を売った会社
賃貸で畑を貸すなら、契約の相手方は、この会社になる。
20年の賃貸でも、売買でも、金額は同じ、およそ120万円
父は、東京の全国規模の会社は仲介のみで、契約の相手方が個人になる点が不安なため、地元企業と契約したいようでした。地元企業の方が、収益も120万円と高い、との話でした。
しかし、私は「賃貸でも、売買でも同じ金額」というところが気になりました。普通に考えて、賃貸よりも売買の方が、金額が大きくなるはずです。金額を再確認する必要があります。
父へ、地元企業の方は、「固定資産税をいくらと試算しているか」確認しました。すると地元企業は、固定資産税の話はしてないとのことでした。
私は、固定資産税の話をしてないということは、賃貸すると赤字になってしまう可能性があることを伝えました。
固定資産税は、年間66,000円になります。20年間で132万円です。地元企業の提案する120万円では赤字です。畑を貸すと「損する」可能性があります。
父へ、地元企業へ、次のことを電話確認するよう伝えました。
固定資産税は誰が払うのか。
すると、地元企業からは、固定資産税は貸主が支払う条件になること、固定資産税に関係なく、20年間で支払う賃料は、総額120万円。売買でも同じ金額との回答でした。
これでは、明らかに不利になってしまいます。父へ契約を保留するよう伝え、後日、打ち合わせに田舎へ行くことを伝えました。
太陽光発電用の賃貸を「断念」
2019年9月28日(土)、田舎の両親へ会いに行きました。畑を、太陽光発電の会社へ貸すか、打ち合わせしました。
全国展開している東京の会社の資料と、地元企業の資料を比較すると、太陽光パネルを畑へ設置する図面は、ほぼ同じでした。両社とも、それなりに実績のある会社、ということが確認できました。
最初に、地元企業の会社は、貸すことで赤字になってしまいます。メリットはないので、断ることにしました。
次に、全国展開している東京の会社です。固定資産税を上回る収益が期待できます。20年間の収益は、84万円です。けして悪い話ではありません。
しかし、契約の相手方が、個人です。
結果的に、次の理由で断念しました。
個人との契約は、契約相手として不安が大きい。人柄もわからないし、管理も、ちゃんとしてくれるか不安。さらに契約者個人に事故があったら怖い。相続人が、どんな人になるかわからない。
20年間経過後は、原則として「更地で返還」となるが、実際は個人との交渉になる。「会社は関知しない」ので不安。
年間収益42,000円に対して、不安感の方が大きすぎる。
今回、田舎の「実家の畑」を、有効利用できるかもしれないと考えて、いろいろ検討しました。結果的には断念しました。しかし、もし本当に使わない畑など、不要な土地があれば、太陽光発電会社へ「売却する」のはメリットがあると思いました。
参考、自分で太陽光発電システムを設置
また、余談ですが、全国展開している会社の資料では、800㎡の畑で、次のように太陽光発電事業の試算がありました。
設備設置費用 930万円(税抜き)
年間収益 116万円(税抜き)
売買単価 14円で計算
つまり、自分で設置費用930万円を用意できれば、20年間で、2,320万円の収益になります。設置費用を差し引いても1,390万円の利益です。年間70万円の儲けになります。ただし、管理経費は考えてませんが。
不要な土地とお金があれば、太陽光発電システムは、投資として良いかもしれません。