WordPressを移行するときの注意点です。動作速度の速い「さくらインターネット」の新プランへ乗り換えました。しかしWordPressの移行で大失敗しました。ディレクトリを丸ごと上書きしてしまったのです。これから移行するときの必須知識です。
「スタンダードプラン」乗り換えクーポン
2018年6月28日、さくらインターネット株式会社のカスタマーセンターから、メール案内がありました。メールのタイトルは「さくらのレンタルサーバ スタンダードプラン乗り換えクーポンのご案内」です。
さくらインターネットのレンタルサーバ 「スタンダードプラン」は、2018年4月18日以降の新規申し込み分から、PHPで動作するWordPressアプリケーションなどの高速化を実施し(PHPモジュールモード)たので、クーポンコードを使って割引価格で乗り換えできるというものでした。
クーポンコードの割引価格は1,544円(初期費用+利用料金1ヶ月分が無料)です。
新プランへの乗り換えによって、WordPressサイトがサクサク表示されるようになるとのことでした。
現在使っている「スタンダードプラン」と同じ「スタンダードプラン」への乗り換えです。月額料金(430円)は変わりません。料金が同じで表示速度が速くなるのです。最近のSEO対策は、モバイル表示速度が影響します。月額料金が同じなら、速い方が良いに決まってます。
最初に案内のメールを見たときは、単なる宣伝と思っていました。SEOのことまでは頭になく、「いずれ乗り換えよう」くらいに軽く考えていました。
実際の表示速度とGoogle「スピードアップデート」
メールで案内をもらってから、しばらくして、妙に表示速度が気になってきました。いろいろな表示速度測定サイトで測定しました。しかし、私の運営しているWordPressサイトは、何れも判定結果が良くありません。
PageSpeed Insightsでは、モバイルが45、パソコンが73です。極端に遅くはないですが、あまり良くないです。
モバイルは低いです。パソコンの方は、まあまあです。しかしGoogleの「スピードアップデート(Speed Update)」は、表示速度の遅いモバイルサイトは、掲載順位が下がるので、とても気になります。
現在(2018年6月)WordPressでブログを2つ運営してます。Adsense収益が、月額2万5千円前後あります。Adsense収益は、Googleの検索結果「掲載順位」に大きく関係します。
Googleは、検索順位を決める要因のひとつとして、2010年から「サイトの表示速度」を取り入れてます。検索順位を計算するアルゴリズムに影響を与えるのです。
そして2018年7月から「スピードアップデート(Speed Update)」を導入して、表示速度がモバイル検索のランキング要素になることが発表されました。実際には、表示速度が遅いモバイルサイトのランキングが下がるようです。これは、かなり気になります。
もしかしたら、表示速度を速くできるなら、Googleの掲載順位が上がり、Adsense収益が増えるかもしれません。
プラン乗り換えを検討
いずれは、速い方の「スタンダードプラン」へ乗り換えようと考えてました。しかし2018年7月から「スピードアップデート(Speed Update)」が導入されます。月額料金が変わらないのであれば、少しでも早い段階で切り替えた方が良いはずです。「さくらインターネット」は、老舗で料金が安いのが大きなメリットです。「スタンダードプラン」は月額515円です。年間一括払いなら税込みで5,142円(月額429円)という安さです。
乗り換えにあたり、他の会社の速いレンタルサーバーも検討しました。一番速いと評判のXSERVERは、月額972円なので料金が2倍です。
いろいろ迷ったのですが、独自ドメインも「さくらインターネット」を利用してます。同じ会社の方が、何かと便利です。そこでプランの切り替えを決断しました。
さくらの新プランへ申し込み
「さくらインターネット」の「スタンダードプラン」を、新プランへ乗り換えるには、新しいレンタルサーバーへの申し込みが必要です。新しく申込みをして、古い方のサーバを解約する手順になります。
つまり一時的に、新旧2つのレンタルサーバを持つことになります。サーバそのものが切り替わるので、WordPressを引越しすることになります。アップグレードのような形式ではなく、WordPressを移行することになります。
簡単な移行イメージは①新プラン申し込み、②WordPress引越し、③旧プランの解約です。初めての経験なので多少不安があります。
新プランの申し込みは、ネット上で簡単でした。さくらインターネットの会員メニューから申し込み可能です。
支払い方法を選択するだけでした。
8月6日夜中の0:00に申し込み手続きを開始して、0:10に受付完了のメールが届きました。およそ10分間でレンタルサーバ新規申込み手続き完了です。
新しい初期ドメインでサーバコントロールパネルへログインし、すぐにWordPressを作成できます。
WordPressを上書きして移転(失敗編)
私は、2013年から5年間、「さくらインターネット」のレンタルサーバ「スタンダードプラン」を使用しています。2つのWordPressサイトを運用してきました。今まで大きなトラブルはなく、ときどき更新したり、デザインやテーマを変更していました。本格的にWordPressを移転した経験はありません。
WordPressの移転方法は、ネット上に多数の情報がありました。しかし読んでも、良くわからないので、とりあえず次の手法を試すことにしました。
新旧2つのレンタルサーバが、同時に1ヶ月間は稼働します。もし移行に失敗しても1ヶ月あれば元に戻せると考えました。
最初の移行方法(失敗例です。)
新レンタルサーバでWordPressを設置する。
旧レンタルサーバのWordPressのフォルダ全てを、FTPソフトFilezillaでパソコンにダウンロードしてバックアップ用とする。
バックアップしたWordPressのディレクトリごと、全てのファイルを新レンタルサーバのWordPressディレクトリへFTPソフトで上書きする。
旧レンタルサーバの独自ドメインを削除してから、新レンタルサーバへ独自ドメインを設定する。
新サーバにWordPressを設置
さくらインターネットのレンタルサーバは、コントロールパネルから新しいWordPressを簡単に設置できます。
最初に新しくデータベースを作成します。データベースの名前とパスワードを忘れないようスクリーンショットしておきます。手書きメモは記載ミスが恐いです。
次に、このデータベースを用いてWordPressを設置します。コントロールパネルから10分程度で簡単に設置できます。設置が完了するとWordPressの初期画面になるので、サイト名は適当な名前をつけておきます。
WordPressをバックアップ
FTPソフトのFilezillaで旧サーバに入り、WordPressを設置したディレクトリ全てを、パソコン上のハードディスクにダウンロードしました。ここが凄く時間がかかりました。Filezillaフル稼働で1時間でした。しかも転送エラーのcashファイルが200近くあり、先行きが恐ろしく不安でした。
次にFilezillaで新サーバに入り、パソコンにバックアップしたWordPressファイル全てを、新サーバのディレクトリにアップロードし上書きしました。これは20分くらいでエラーなく完了しました。
独自ドメインの移行は、コントロールパネルから旧サーバに入り、独自ドメインを削除しました。旧サーバのコントロールパネルから一度ログアウトして、新サーバに入り直し、独自ドメインを新サーバの方で追加しました。
すぐにブラウザでサイトにアクセスすると、まだドメインが有効にならず、表示されませんでした。10分くらい経過してから表示されるようになりました。
独自ドメインを新しいサーバに設定し、以前と全く同様にWordPressが表示されていることを確認しました。
順調にWordPressの移行が完了したと思っていたところ、大きな間違いに気付きました。
データベースの移行(失敗編)
新サーバのWordPressが順調に稼働したので、念のために、新旧サーバのコントロールパネルのデータを比較しました。旧サーバのスクリーンショットを見ながら、新サーバのコントロールパネルでデータ(主にデータ容量やファイル数量)を比較し確認しました。
すると、不思議な状況がわかりました。
新サーバのコントロールパネルにあるデータベース一覧の使用量が、0.88MBと表示され、やけに少ないのです。ほとんど使用してない空の状態です。これはデータベースが作成されていない可能性があります。
しかし、新しいサーバに追加した独自ドメインでサイトを確認すると、問題なくサイトが表示されています。過去の記事もクリックすれば普通に表示されます。
「新サーバのデータベースが空の状態で、過去の記事が全て表示される」という不思議な状況でした。こうなると、古いサーバのデータベースを使っているとしか考えられません。旧サーバのデータベース使用量は86.39MBあるのです。
そこで、WordPressでデータベースを設定しているファイルを調べました。データベースを設定するファイルはWordPressディレクトリの中にある「wp-config.php」です。ファイルの中身をテキストエディタで開き確認しました。すると予想どおり旧サーバのデータベースが設定されていました。データベース名もMySQLのホスト名も、旧サーバのままでした。
つまり新しいサイトは正常に表示されていますが、新サーバのWordPressで、旧サーバのMySQLデータベースを使用している状態です。
これは「まずい」です。旧サーバは解約します。今回のプラン乗り換えの目的は、データベースを新サーバに変えて動作を速くすることです。WordPressを新しくしたのに、データベースが遅くて古いままでは意味がありません。これではWordPress移行は失敗です。
すぐにデータベースを新サーバの方へ切り替えなくてはなりません。
WordPressのデータベースを設定しているファイルは「wp-config.php」です。早速、新サーバのコントロールパネルの設定情報を見ながら「wp-config.php」のデータベース設定を、新サーバへ書き換えました。
ところが、ブラウザでサイトを見ようとすると白紙画面です。何も表示されません。もしかしたら「wp-config.php」だけでなく、他にも影響する設定ファイルがあるのかもしれません。こうなると、もうお手上げ状態です。
仕方ないので、最初からやり直すことにしました。失敗した原因は明らかです。旧サーバのWordPressディレクトリを、そのまま新サーバのWordPressディレクトリへ上書きしたことです。そのため旧サーバのデータベースを使うことになってしまいました。冷静に考えればわかることです。
もう一度最初から新しいWordPressをインストールするしかありません。
改善方法としては、新サーバのWordPressが、新しいデータベースで動いていることを確認した後で、記事の部分を移行します。初期動作のときは、空のデータベースで記事数は0のはずです。記事がない状態で、新サーバのWordPressの動作を確認します。その後で、記事部分のデータベースを移行するのです。