「個人年金」受取り時の注意点、「健康保険の被扶養者」と「確定申告」

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人生100年時代
2002年12月 ハワイ

「個人年金」を受け取るときの注意点です。若いときに積み立て、60歳過ぎてから受け取る個人年金は、実際に受け取るときに注意が必要です。健康保険の被扶養者に加入するときに、収入要件に含まれることがあります。また確定申告についても理解しておきましょう。

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個人年金を受け取るときの注意

個人年金は、若いときに積み立てて、定年退職後にもらえる年金です。いろいろな種類がありますが、一定期間(5年とか10年)だけ受け取る個人年金が多いです。積み立てたお金に利息が加算されて支払われます。ほんの少しだけ増えた年金をもらえます。現在(2020年7月)は、金利が0.002%です。1990年のバブル期は5~6%でした。2,000倍も違います。金利が低いと利息分の金額は微々たるものです。

私が実際に受け取った個人年金の利息は、15年間で228,570円でした。1年間で 15,238円の利息でした。2005(平成17)年当時、支払った保険料は月額3万円(年間36万円の元本)でしたので、年利換算すると4.23%です。通常の定期預金(2005年当時は0.05%)よりも、はるかに有利だったことがわかります。

公的年金以外に、個人年金を積み立てるメリットは、現役時代に無駄な出費を防ぎ、定年退職後に無職になっても生活に困らないようにするためです。無職になったときに、一番心配なのは「収入」です。個人年金に入っていれば、5年間とか10年間、安定的に個人年金を受け取れます。精神的にかなり楽になります。

しかし個人年金を受け取る際には、注意したいことが2つあります。ひとつは無職になったときに、家族の健康保険へ被扶養者として加入する場合です。もうひとつは所得税の確定申告です。社会保険料と所得税は別の制度ですが、両方に関係しています。損をしないためにも正しい知識が必要です。

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無職でも「健康保険」に入らなければならない

現役で働いているときは、「個人年金は貯金と同じ」ように思っています。定年退職して無職になって、個人年金を実際に受け取る時のことまで考えていません。私もそうでした。60歳で定年退職して無職になり、健康保険の加入を検討するときに、初めて個人年金が影響することに気付きました。

60歳で定年退職して無職になった場合、一番最初に検討が必要なのは「健康保険」への加入方法です。会社員のときは、自動的に会社側で手続きをしてくれます。会社の総務担当者から指示されたとおりに書類を提出するだけです。しかし退職して無職になれば、健康保険の加入手続きは自分で行わなければなりません。今まで経験のない手続きを、すぐに自分で判断しなくてはなりません。

健康保険に加入するには、3つの方法があります。「任意継続被保険者」、「国民健康保険」、「家族の被扶養者」です。どれかを選択することになります。

「任意継続被保険者」は、退職時の会社の健康保険に2年間継続して加入できます。ただ今まで支払っていた月額保険料のおよそ2倍(上限は3万5千円ほど)になるので注意が必要です。

「国民健康保険」へ加入する場合も保険料に注意が必要です。国民健康保険は、前年の収入が高いと、保険料も高額になります。参考に試算結果です。

東京都練馬区の国民健康保険料の例(金額は概算です。)

年収 800万円 年間 626,726円 月額 52,227円

年収 400万円 年間 292,196円 月額 24,350円

年収 200万円 年間 146,468円 月額 12,206円

年収 0円 年間 56,400円 月額 4,700円

およその金額です。実際の保険料は、世帯人数や年齢などで異なります。市区町村へ問い合わせしましょう。

上記のように、前年の年収が800万円あれば、現在は無職無収入だとしても、年間 626,726円、月額 52,227円と高額な保険料になります。

家族の中で、会社で働いている人がいる場合は、家族の被扶養者になるのが一番有利です。保険料は必要ありません。特に配偶者であれば、比較的簡単な手続きで加入できます。配偶者でない場合には、いろいろな書類が必要になります。会社の担当者から求められる書類を提出することになります。会社によって手続きが異なるので注意しましょう。住民票や戸籍謄本、収入を証明する書類などが必要になるので、事前に会社の担当者へ相談しましょう。

健康保険の保険料を考えるとき、一番有利なのは、家族の被扶養者になることです。ただし被扶養者として認められるには、収入要件をクリアーしなければなりません。この収入要件に、個人年金が影響します。

家族の被扶養者になるためには、実際に生計を維持してもらっていることが必要です。一般的には同じ家に住み、生活費を負担してもらってることを意味します。別のところに住んでいるのであれば、当然ながら生活費を送金している事実が必要になります。

家族の被扶養者になるための認定基準は、年間収入が180万円未満(59歳以下は130万円未満、2020年現在)であることです。ここが最も重要です。数年にわけて受け取る個人年金は、受け取る年金額が、年間収入に含まれることです。つまり個人年金が180万円を超えていれば被扶養者になれません。

個人年金は、自分が過去に積み立てた金額を、分割して受け取るお金です。利息分が上乗せされますが微々たるものです。個人年金と言っても、自分の貯蓄を取り崩すのと変わりません。それでも、健康保険の被扶養者になるための収入に含まれてしまうのです。被扶養者の収入の考え方は、将来的に1年間で受け取る金額を意味します。これは次に説明する所得税と大きく違う点です。

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個人年金の「確定申告」

個人年金は「確定申告」についても注意が必要です。民間会社による個人年金は、若い時に毎月掛け金を支払い、何年間も積み立て、60歳を過ぎてから一定期間(5年間あるいは10年間)年金として受け取るものです。

例えば、個人年金として150万円受け取る場合、確定申告が必要でしょうか。

会社員として働いているときは、給与以外に年間20万円を超える雑所得があるときに確定申告が必要です。「20万円の所得」の判断については、収入から必要経費を引いた金額でした。例えば、収入金額が30万円だとしても、必要経費が15万円かかり、差し引き15万円の所得であれば確定申告は不要でした。所得(収入ー必要経費)に対して課税されるのが所得税です。

しかし、健康保険の被扶養者認定の「収入要件」は、所得税法上の「所得」とは異なります。個人年金については、受け取った年金額が収入になります。

被扶養者の収入要件と同じように考えるなら、個人年金として150万円受け取ったら、150万円全額が課税対象になり、確定申告が必要になりそうです。個人年金については、所得と収入の考え方で迷いました。ここがよくわからず悩みました。ネットで調べてもわからず、直接、税務署へ電話確認しました。(以下は参考情報です。所得税は、ケースバイケースで判断が変わります。必ず最寄りの税務署へ電話して確認しましょう。税務署は、とても親切に教えてくれます。)

所得税法では、民間会社の個人年金については、次のように考えます。

民間会社の個人年金は、過去に積み立てた自分のお金を受け取るものです。年金として受け取る時に、利息分を上乗せしてもらうので、少しだけ増えて受け取ることになります。自分の貯金を取り崩すのと同じようなものです。

そのため所得税法の「所得」としては、過去に自分で積み立てた分の掛金を、必要経費とみなします。つまり個人年金については、受け取った年金額から、過去に支払った掛け金の金額を必要経費として控除することができます。

民間会社の個人年金(所得)

所得 = 受け取った年金額 - 過去に支払った掛け金額

簡単に言うと、金利相当部分だけ(上乗せされた部分だけ)が所得になり、課税対象になります。

2020年現在は金利がとても低いので、掛け金に対して上乗せされる利息分は、本当に微々たるものです。過去に払った掛け金額については、実際に個人年金を受け取った後に、郵送で支払明細が届きます。その明細の中に過去に払った掛け金額相当の「必要経費」が記載されています。

150万円の個人年金であれば、必要経費を除くと、およそ10万円程度の所得です。実際に私が受け取った個人年金は、2020年6月に1,125,714円でした。年金入金後1週間くらいで届いた明細を見ると、必要経費は1,080,686円でした。私の個人年金の所得金額は、45,028円です。

確定申告が必要なケースは、所得金額が「所得控除金額の合計額」を上回るときです。課税対象の所得金額を計算するときは、所得控除額を引いて計算します。所得から控除できる金額として、基礎控除(38万円、令和2年分から48万円)、社会保険料控除、生命保険料控除などがあります。これらの控除金額の合計額を、所得が上回ったときに確定申告が必要になります。

簡単に言えば、所得金額が38万円以下であれば、確定申告は必要ありません。あるいは所得金額が、「38万円 + 他の控除金額」以下であれば必要ないわけです。(税務署へ電話すれば、すぐに教えてくれます。)

2020年現在は、金利が低いので、個人年金で確定申告が必要になるケースは少ないです。実際に個人年金を受け取ったときは、その後に郵送される個人年金の内訳明細を見ながら、税務署へ確認しましょう。所得税は、法律が頻繁に改正されます。毎年のように所得税の計算方法が変わります。税務署へ確認するのが一番安全です。

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