東京都の説明責任についての解説です。都知事が政治資金の公私混同問題で辞職した理由は、都民や国民に対して説明しなかったことです。有名アナウンサーによる「おもてなし」の報酬も公開すべきです。税金を使う側も、受け取る側も説明責任を負います。
週刊誌が都知事を辞職させた
2016年6月、週刊誌による政治資金の公私混同疑惑の記事が、ついに都知事を辞職へと追い込みました。都知事就任から2年4ヶ月での辞職でした。マスメディアが民主主義を守りました。
それにしても、法律に違反した事件ではないのに、なぜ辞任に追い込まれたのでしょうか。
都知事が信頼を失った点
公私混同疑惑に関する都知事の説明は、次の点で、多くの人たちが怒りを覚え、信用できないと判断しました。
原稿を読むような説明のみで、自分の本心を表現した言葉ではない。
マスコミからの質問を、はぐらかすような答え方で真実を語らない。
核心部分になると「政治の機微に関わる問題で答えられない」と説明を逃げている。
つまり、公私混同疑惑を指摘されているにもかかわらず、「自分は、法律に違反するようなことはしていない」という開き直りの考えが透けて見え、反省が全く見られませんでした。
都知事本人からすれば、「公私混同なんてくだらない問題は、たいしたことなく、この場さえしのげば、いずれ、みんな忘れるだろう」という無責任な考えを持っていたと想像できます。しかし、都民や国民は許しませんでした。
日本のマスコミが、民意を正確に捉え、権力者の横暴を許さない、という民主主義を完全に守ったのです。
批判を浴びた公私混同疑惑
政治資金の公私混同疑惑として問題視された主なものは、次のとおりです。
正月に家族連れで会議
漫画「クレヨンしんちゃん」の本
絵画
公用車を使って神奈川県・湯河原の別荘へ通っていた
高額な海外出張費、ホテルのスイートを利用し︎ロンドンで1泊15万や ベルリンで9万など
2016年6月6日、舛添都知事が記者会見に連れてきた弁護士が、第三者調査委員会として、調査結果を報告しました。
「違法性はないが、一部で不適切な支出があった」との結論でした。
これが国民感情を逆撫でし、致命的となりました。国民は、倫理感覚を問題にしているのに、都知事は、法律違反かどうかの問題にすり替えて報告してしまったのです。
納得できない都知事
都知事からすれば、今回の問題は「他の政治家も同じことをやっているのに、なぜ俺だけ叩かれるのか、法律に違反するような悪いことはしていない」と思っていたはずです。
しかし、国民の税金を使用する者は、常に説明責任を負います。使用した内容について、すべてを公に明らかにして、丁寧に説明しなければなりません。公に明らかにできない秘密の会合ならば、ポケットマネーで自己負担すべきです。
国民の税金で、秘密扱いが許されるのは、国民の生命に関わる外交問題や警察の捜査など、国民の命が危険にさらされる場合だけです。誰が考えても影響が大きく、「公にしたらマズいだろ」という部分だけです。
都知事が使用した税金は、秘密にする対象ではなく、すべてを明らかにすべき内容でした。
有名アナウンサーの秘密
そういえば、東京都がオリンピックを招致するため「おもてなし」をアピールしました。有名アナウンサーへの報酬は、一切マスコミで報道されませんでした。東京都は、いったい、どれほどの報酬を支払ったのでしょうか。
当時も、少しだけ報酬額が話題になりましたが、東京都は公表しませんでした。秘密にするということは、おそらく、公表できないほど多額な報酬なのでしょうけど、これは大問題です。
民間企業同士の契約なら公表する必要はありませんが、税金を使用する官公庁には説明責任があります。税金から報酬を受ける者も、当然、説明責任を負います。東京都は、秘密の契約を締結すべきではありません。
公表できないような税金を使用したとすれば、マスコミも追求すべきです。アナウンサー側も公開すべきです。
本来、税金を使用したときは、支払った方も受け取った方も、双方が公表すべきです。税金を使用するということは、関係する誰もが、国民に対して説明責任を負います。そして、もし公表した結果、批判を浴びてしまい、国民が納得できる説明が困難なら返納すべきです。説明責任を負えない者は、税金を使ったり、受け取ったりしてはいけません。公表しないのは、税金ドロボーと同じに見られてしまいます。
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