鳥居の役割と意味とは?赤い理由や種類の違い、正しいくぐり方を徹底解説

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鳥居の役割 その他
鳥居の役割
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神社の入り口で私たちを静かに迎えてくれる「鳥居」。

初詣や観光で何気なくその下をくぐっていますが、なぜあのような形をしているのか、なぜ赤い色をしていることが多いのか、ふと疑問に思ったことはありませんか?

実は鳥居には、単なる「門」としての機能だけでなく、私たちの心を日常から神聖な領域へと切り替えるための重要な「役割」が隠されています。鳥居の意味を知ることは、日本人が大切にしてきた「見えないものを敬う心」に触れることでもあります。

この記事では、鳥居が持つ本来の役割や色の秘密、意外と知られていない建築様式の違い、そして参拝時に役立つ正しいくぐり方までをわかりやすく解説します。これらを読み終える頃には、いつもの神社の風景が、より深く、神秘的なものに感じられるようになるでしょう。それでは、鳥居の奥深い世界へとご案内します。

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鳥居とは何か?その根本的な役割と意味

日本の風景において象徴的な存在である鳥居。神社を訪れる際、私たちは何気なくその下を通り抜けていますが、鳥居には単なる「門」以上の深い精神的な役割が存在します。まず初めに、鳥居が持つ根本的な意味と機能について深く掘り下げていきましょう。

鳥居の役割
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神域と俗界を分ける「結界」としての機能

鳥居の最も重要かつ基本的な役割は、神様がいらっしゃる神聖な場所「神域」と、私たちが暮らす人間社会である「俗界」を区別することです。これを専門的な言葉で「結界(けっかい)」と呼びます。

家に入る際に玄関で靴を脱ぐように、鳥居は「ここからは神聖な場所である」という境界線を示しています。物理的な扉があるわけではありませんが、精神的なスイッチを切り替える装置としての役割を果たしているのです。鳥居をくぐるという行為は、外の世界で付着した穢れ(けがれ)を払い、心を整えて神様の御前に立つ準備をするプロセスそのものであると言えます。

多くの神社では、参道の入り口に「一の鳥居」があり、本殿に近づくにつれて「二の鳥居」「三の鳥居」と続いていくことがあります。これは、奥へ進むほどに神聖さが増していくことを表しており、鳥居を一つくぐるたびに、より深い神域へと足を踏み入れていることを意味しています。

神様が降りてくる目印や門としての役割

もう一つの側面として、鳥居は神社の内側と外側を分けるだけでなく、神様が出入りするための「門」であるとも考えられています。また、神様が降臨される際の目印としての役割も担っているという説もあります。

神社によっては、本殿を持たず、山や岩そのものを御神体として祀っている場所があります。そのような原始的な信仰の形を残す場所において、鳥居は「ここが神様を拝むための遥拝所(ようはいじょ)である」ことを示す象徴として機能してきました。つまり、鳥居があることによって、そこに目に見えない神様の存在を感じ取ることができるのです。

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なぜ鳥居は赤い(朱色)のか?色に込められた秘密

鳥居と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、鮮やかな朱色(赤色)の姿ではないでしょうか。特に稲荷神社などで見られる朱色の鳥居は、視覚的にも強烈なインパクトを与えます。しかし、すべての鳥居が赤いわけではありません。なぜ多くの鳥居が朱色に塗られているのか、そこには精神的な理由と科学的な理由の両方が存在します。

魔除けとしての「赤」の力

古来より、日本では「赤(朱)」という色に特別な力が宿ると信じられてきました。赤は、太陽や火、生命の血の色を連想させ、災厄や悪霊を退ける「魔除け」の力があると考えられていたのです。

神社の入り口に建つ鳥居を朱色にすることで、外から災いや悪しきものが神域に入り込むのを防ぐという、強力な結界としての意味合いが込められています。また、赤は生命の躍動や五穀豊穣を表す色でもあり、春の暖かさや明るい陽気を象徴することから、神様の力を高める色としても重要視されてきました。

防腐剤としての実用的な理由

精神的な意味に加え、実は非常に合理的な理由もあります。昔から朱色の顔料には「丹(に)」と呼ばれる水銀(硫化水銀)が含まれていました。水銀には優れた防腐作用や防虫作用があります。

日本の神社の多くは木造建築です。雨風や紫外線、そしてシロアリなどの害虫から木材を守るために、防腐剤としての役割を果たす朱の漆や顔料を塗ることは、建物を長く維持するための先人の知恵でした。特に朱色の顔料は耐久性が高く、長期間にわたって木材を保護するのに適していたのです。このように、朱色の鳥居は信仰心と建築技術が見事に融合した結果と言えるでしょう。

赤くない鳥居が存在する理由と白木の鳥居

一方で、伊勢神宮や出雲大社などを訪れると、鳥居が朱色ではなく、木そのものの色や、あるいは石造り、金属製であることに気づくでしょう。

実は、鳥居が朱色になったのは仏教伝来以降の影響が強く、神仏習合の歴史の中で広まった文化だと言われています。それ以前の古い形式を重んじる神社や、質素さを尊ぶ神社では、樹皮を剥いただけの「白木(しらき)」の鳥居が用いられることが一般的です。白木の鳥居は、自然崇拝の形を色濃く残しており、清浄さや素朴な美しさを表しています。

また、白い鳥居や黒い鳥居など、神社のご祭神や方位学(風水)に基づいて特定の色が選ばれているケースもあり、鳥居の色一つとってもその神社の歴史や性格を知る手がかりとなります。

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鳥居の起源と歴史を探る

鳥居がいつ、どのようにして生まれたのかについては、実は決定的な定説がなく、いくつかの有力な説が存在します。日本の神話に由来するものから、海外からの影響説まで、興味深い起源の物語をご紹介します。

日本神話「天岩戸」と「鶏」の伝説

日本固有の説として最も有名なのが、古事記や日本書紀に記された「天岩戸(あまのいわと)」の伝説に由来するものです。

太陽神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)が岩戸に隠れてしまい、世界が闇に包まれた際、八百万の神々はなんとかして天照大御神を外に出そうと試みました。その際、鳴き声で朝を告げる「常世の長鳴鳥(とこよのながなきどり)」、つまり鶏を木にとまらせて鳴かせたといいます。

この時、鶏が止まっていた止まり木が「鳥居」の原型になったという説です。「鳥が居る場所」だから「鳥居」と呼ばれるようになったという語源説とも一致し、現在でも親しまれている説の一つです。

海外渡来説(インドや中国からの影響)

一方で、鳥居の形状が海外の門と類似していることから、外国から伝わった文化が日本独自に変化したという説も有力です。

例えば、インドの仏塔の入り口にある門「トーラナ」や、中国の伝統的な門である「牌楼(パイロウ)」、あるいは朝鮮半島の「紅箭門(ホンサルムン)」などが起源として挙げられます。特にインドの「トーラナ」は、発音も「トリイ」に近く、形状も似ていることから、仏教の伝来とともにその概念が伝わり、神道の施設に取り入れられたのではないかと考えられています。また、タイや雲南省などアジア各地に似たような門の文化が見られることから、アジア広域に共通する「聖域の門」の文化が、日本で独自の進化を遂げた可能性が高いでしょう。

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実は種類が豊富!鳥居の建築様式と見分け方

一見するとどれも同じように見える鳥居ですが、実は細部の構造によって大きく2つの系統に分類され、さらにそこから多くの種類に枝分かれしています。鳥居の形を見るだけで、その神社がどのような神様を祀っているかある程度推測できることもあります。

最も古い様式「神明系鳥居」の特徴

一つ目の系統は「神明(しんめい)系」と呼ばれるものです。これは非常に古くからの様式で、構造がシンプルかつ直線的であることが特徴です。

一番上の横木(笠木といいます)が真っ直ぐで、その下の横木(貫といいます)が柱の外側に突き出ていません。全体的に素朴で原始的な印象を与えます。代表的なものは伊勢神宮の鳥居であり、白木で作られることが多いのも特徴です。天照大御神をお祀りする神社などでよく見られます。

装飾的で曲線が美しい「明神系鳥居」の特徴

もう一つの系統が「明神(みょうじん)系」です。日本全国の神社の多くがこのタイプの鳥居を採用しています。

神明系との大きな違いは、一番上の横木(笠木・島木)の両端が空に向かって反り上がっている曲線的なデザインであることです。また、中央に神社名を書いた額(神額)が掲げられていることが多く、二本目の横木(貫)が柱の外側に突き出ています。

さらに、柱の下に「台石(だいいし)」や「根巻き」と呼ばれる補強や装飾が施されていることもあります。仏教建築の影響を受けた装飾的な美しさが特徴で、稲荷神社や八幡宮など、幅広い神社で見ることができます。

珍しい形状の鳥居(山王鳥居・三輪鳥居など)

基本の2系統以外にも、特殊な形状の鳥居が存在します。

例えば「山王(さんのう)鳥居」は、明神鳥居の上部に三角形の破風(屋根のようなもの)が乗った形をしており、神仏習合の象徴とされています(日吉大社などが有名です)。

また、「三輪(みわ)鳥居」は、明神鳥居の両脇に小さな鳥居がくっついたような形をしており、三つの鳥居が合体したような独特の姿をしています。これらは特定の信仰や神社の由緒に基づいた特別なデザインであり、見つけた際にはその神社の深い歴史を感じることができるでしょう。

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正しい参拝のために知っておきたい鳥居のくぐり方

鳥居の意味や種類を理解したところで、実際に神社を訪れた際の正しい振る舞いについて解説します。マナーを知ることは、形式にとらわれることではなく、神様への敬意を表す心の表れです。

くぐる前の一礼「一揖(いちゆう)」の意味

鳥居をくぐる際は、ただ通り抜けるのではなく、一度立ち止まり、軽く一礼をするのが作法です。これを「一揖(いちゆう)」と言います。

前述の通り、鳥居は神様の家の玄関にあたります。知人の家を訪問する際に「お邪魔します」と挨拶をするのと同じように、神様に対して「これから参拝させていただきます」という挨拶と敬意を表す行為です。帽子を被っている場合は取り、コートなどの防寒具も可能であれば脱いでから一礼すると、より丁寧な印象となります。

参道の真ん中「正中」を避ける理由

鳥居をくぐった後、参道を歩く際にも注意が必要です。参道の中央部分は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様が通る道とされています。そのため、参拝者は正中を避け、左右の端を歩くのが礼儀とされています。

鳥居をくぐる瞬間も、真ん中堂々と通るのではなく、少し左右に寄ってから、神前に近い方の足(左端を歩くなら左足、右端なら右足)から踏み出すのが美しい所作とされています。もし混雑などでどうしても正中を横切らなければならない場合は、軽く頭を下げながら「前を通らせていただきます」という気持ちで通ると良いでしょう。

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日本各地のユニークで有名な鳥居

最後に、その役割や美しさが際立つ、日本各地の有名な鳥居をいくつかご紹介します。旅行や参拝の際の参考にしてみてください。

海に浮かぶ厳島神社の鳥居

広島県の宮島にある厳島神社の大鳥居は、世界的にも有名です。満潮時になると海の上に浮かんでいるように見えます。これは、島全体が御神体として崇められていたため、神聖な土地に杭を打つことを避け、海の中に結界を設けたためと言われています。自然と一体化したその姿は、日本人の自然崇拝の精神を象徴しています。

圧倒的な数を誇る伏見稲荷大社の千本鳥居

京都の伏見稲荷大社にある「千本鳥居」は、幻想的な空間を作り出しています。これらは崇敬者たちが願い事が「通る(叶う)」、あるいは「通った(叶った)」御礼として奉納したものです。数千本もの鳥居が連なるトンネルは、現世から異界へと誘うような不思議な感覚を参拝者に与えます。

海に向かって並ぶ元乃隅神社の鳥居

山口県にある元乃隅(もとのすみ)神社では、123基もの赤い鳥居が海に向かって龍のように並んでいます。青い海、緑の草木、そして赤い鳥居のコントラストは圧巻で、近年海外からの注目も集めています。地形に合わせて配置された鳥居は、風景の中に神聖な道を作り出しています。

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まとめ

鳥居は、単なる神社の入り口にある建造物ではありません。それは、私たちが暮らす日常の世界と、神様がいらっしゃる神聖な世界をつなぐ境界線であり、心を清めるための結界としての役割を果たしています。

鳥居の役割
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その色や形には、魔除けの願いや建築を守る知恵、そして長い歴史の中で育まれた信仰の形が込められています。次に神社を訪れる際は、ぜひ鳥居の前で一度足を止め、その形や色、そしてそこに込められた先人たちの想いを感じてみてください。きっと、これまでとは違った清々しい気持ちで参拝ができるはずです。

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