海外旅行についての注意点です。英語が苦手な人が海外へ旅行するときは、全日空（ANA）か日本航空（JAL）を利用しましょう。台風などで、到着する空港が変わったり、到着時刻が深夜になった時など、日本語の案内がないと、かなり悲惨な状況になります。
ヒースロー空港から台風の空へ
2011(平成23)年9月21日、イギリスのロンドンから帰るとき、台風で成田空港に着陸できずに、北海道の千歳空港に着陸しました。その時の体験記録です。
全日空202便は、前日9月20日の19時35分にイギリスのヒースロー空港を離陸しました。成田空港への到着予定時刻は、翌日9月21日の15時20分でした。
台風が日本へ近付いているという情報は、出発前日の9月19日に、イギリスに滞在する娘の家で、パソコンのニュースで見ていました。ヒースロー空港の搭乗手続きを行う際に、日本のニュースもチェックしてました。もしかしたら、時間も重なるようだし、影響を受けるかもしれないと思っていました。
11時間45分のフライト時間は、51歳の年齢と、エコノミークラスの狭い空間によって、相当な疲れが蓄積します。飛行中に睡眠が取れれば、身体も楽になると思います。しかし私は、鉄の塊が空の上を飛んでいるという恐怖感と、時速600キロの風を切る音やエンジン音が気になってしまい、全く眠れませんでした。小心者の私にとっては、修行に近い忍耐力が求めらました。
ヒースロー空港を離陸した飛行機は、9時間ほど順調に飛行していました。成田空港へ到着する2時間前に、機長の機内アナウンスが流れました。
台風の影響で、成田空港上空の気候が不安定なので、到着地を変更する可能性があること、新千歳空港や関西空港に着陸するかもしれない、との放送でした。
機内は少しざわめきましたが、ほとんどの乗客は、日本に台風が接近していることは知っていたようです。意外と落ち着いていました。いずれにしても、今は空の上を飛んでいるわけです。自分だけ降りることも不可能です。機長に命を預けているのですから、「まな板の上の鯉」の心境にならざるを得ません。
私は、成田空港へ15時20分に到着できなくても、（3時間くらいの遅れかな）と安易に考えていました。会社へは、翌日も休暇を申請済です。（まあ、のんびり行こう）と思っていました。
成田空港から、新千歳空港へ
着陸予定時刻の1時間前に、機長から「新千歳空港に着陸する」との機内放送がありました。機内の乗客は、誰も騒ぐことなく、予想の範囲内で全員が冷静でした。
全日空202便は、成田空港到着を変更し、北海道の新千歳空港へ15時30分に到着しました。飛行機の窓から外を覗くと、青空が見え快晴でした。北海道は、台風の影響は全く感じられませんでした。
隣に座っている妻は、北海道に上陸したのは生まれて初めてらしく、「もう、こうなったら、せっかくだから北海道の幸を堪能していきましょ！」と海鮮丼やらカニを食べる計画を始めました。
普通なら、空港に着陸してからタラップを接続して飛行機を降りるまで30分くらいです。しかし、飛行機はタラップの近くの地上に止まったままでした。
すると機長から、アナウンスが流れました。
台風の影響で成田空港が閉鎖になり、世界各国から、成田空港へ着陸しようとしていた航空機が、全て新千歳空港に着陸したとのことです。その関係で、新千歳空港の入国手続きが混乱しており、まだ降りることができないので、しばらくお待ちください、とのことでした。
携帯電話やパソコンなどの電子機器も、ご自由にお使いください、とアナウンスがありました。ほとんどの乗客は、携帯電話で家族へ電話したりメールしていました。飛行機から降りられないことがわかり、もう観念するしかありません。
18時10分、まだ新千歳空港の飛行機の中に閉じ込められたままです。15時30分に新千歳空港に着陸してから、ほぼ3時間、飛行機の中にいます。飲み物やトイレは自由です。しかし座ったままの状態は辛いです。
台風の影響で、成田空港に着陸できない飛行機が、新千歳空港へ集中してしまい入国手続きが混乱しているのです。仕方ないですが、やはり缶詰状態は厳しいです。
すると、機長からアナウンスがありました。成田空港は、21時過ぎには着陸できそうなので、20時15分に成田空港へ出発することを決定したとのことでした。
続けてアナウンスがありました。もし、天候の状態が良くなくて、成田空港へ着陸できなければ、羽田空港へ向かい、羽田空港も無理なら中部空港へ行くとのことでした。
もう、こうなると「日本一周」です。
そして、成田空港以外の空港で降りた場合の、地上交通費やホテル代は、ANAが持つから心配しなくていい、とアナウンスがありました。
しかし、どの空港に着陸できるかわかりません。少し心配でした。台風なのだから、飛行機が落ちては困ります。無理に飛ばないで欲しい、と言いたくなりました。
飛行機の中に閉じ込められているときは、スマートフォンと乾電池式充電器を持ってて良かったと思いました。自分の意思で決められない「暇な時間」は、苦痛以外の何物でもないです。Xperiaでインターネットが見える環境があって、だいぶ精神的苦痛も和らぎました。
機内の様子は、みんな静かに観念していました。映画を見ている人、雑誌や新聞を読んでいる人、居眠りをする人など様々でした。誰一人文句を言う人はいませんでした。日本人のまじめな気質なのか、イギリスからのフライト便で、旅行に慣れている人が多いせいなのか不明ですが、乗客全員が冷静で落ち着いていました。
19時くらいに、男性二人連れの乗客が、トイレ前の通路で、ワインを片手に、合コンのようにスチュワーデスさんと談笑していました。おそらく自分の席で座っているのが苦痛だったのだと思いますが、少し迷惑でした。
ようやく成田空港到着
北海道の新千歳空港を出発できたのは、21時過ぎで、成田空港に到着したのが23時でした。
成田空港の入国手続きを終えて、終電に乗るため、慌てて地階の切符売り場へ行きました。しかし、すでに終電がありませんでした。慌てて1階へ戻り、新宿行きのリムジンバスの予約をお願いしました。
すると、最終の0時発のチケットが2枚だけ残っていて、すぐに予約しました。待ち時間は1時間でした。
成田空港1階のロビーは、同じ飛行機に乗ってきた乗客の多くが、帰ることができずに、全日空の案内を待っていました。全日空の職員は、10人ほどが丁寧に謝罪しながら、笑顔で対応していました。しかし、どう対応するのか、具体的な案内が全くありません。イラだつ乗客に「申し訳ございません、すぐに案内しますから」と笑顔で話すだけの対応でした。
待っている方としては、何時頃に、どこ行きのバスを無料で出す、あるいは、何時頃ホテルへ案内する、などの具体的な情報が欲しいのです。疲れているのに、具体的な案内が全くありませんでした。中には、案内の情報がないのに、「ここに並んでください」、と訳のわからないことをいう職員もいる始末でした。
本来なら16時には着いているのに、7時間も遅れて疲れてます。具体的な案内がなく、さらに疲労が蓄積しました。
しばらくすると、バスでも帰れない人は、アパホテルに宿泊できるとの案内がありました。新宿行きの無料バスも出るとアナウンスがありました。
すでにリムジンバスのチケットを買っていましたが、キャンセルして返金してもらい、無料バスに乗ることにしました。
バスは、深夜0時に成田空港を出発し、1時30分に新宿へ着きました。新宿でタクシーに乗り、家に到着したのは夜中の2時でした。
もうヘトヘトでした。
台風で違う空港へ到着したら「自己負担」
数日後、ネットで調べたのですが、台風などの自然災害で、着陸空港が変わった場合、移動のための交通費や宿泊代は、本来は「自己負担」らしいです。チケットを購入するときの条件に明記してあります。
それを考えると、今回の全日空の対応は、良かったです。到着した成田空港では、疲れと混乱のため、「全日空の案内」が良くないと感じました。しかし、「海外の航空会社」や「格安航空会社」では、「案内さえしない」可能性があります。もし、海外の航空会社で、格安チケットだったら、全部が自己負担、自己責任かもしれません。
今回は、到着空港が日本だから大丈夫でしたが、外国で同じことが起きたら、英語が話せない私には、かなり悲惨な状況に陥ります。海外で、知らない空港で放り出されても、何もできません。考えただけで「ゾッ」とします。
やはり海外旅行は、全日空（ANA）か日本航空（JAL）が安全とわかりました。