係長の役割とは

嫌われる指導方法

年令を重ねるにつれ、若い人や部下へ指示しなければならない機会が多くなります。大きい組織ほど係やチームが多数あり、部下の人数も多く、年上の部下や性格の合わない人と接することになります。

しかし、部下を指導するときに、昔の話を例にして説明するのは嫌われます。特に、若い人たちは、自分と波長の合う仲の良い先輩の言うことは真面目に聞きますが、単なる仕事上の上司の言うことは、説教されているだけだと感じてしまいますから、上司が昔の話などすれば、今の人たちは自分たちが否定されているように感じ、ますます心が離れてしまうのです。

先輩についていく

現在はハラスメントという言葉も誕生し、無理な仕事や嫌な仕事を指示するだけでパワーハラスメントが成立してしまう寂しい世の中です。30年ほど前はハラスメントという言葉も存在せず、職場に採用されたら先輩や上司の言われたことを忠実に守り、勤務時間内だけでなく勤務時間外も先輩についていくのが社会人だと教育されてきました。

昔は、上司に仕事をさせるなど失礼極まりないと教育されていましたから、仕事は係員が行うものという職場のルールが完全に確立していましたし、若い人たち同士も、係を超えてお互いを手伝うという協調性もありました。係員同士が、係を超えて仲が良く、一緒にスポーツをしたり、お酒を飲んだり、休日は旅行に行ったりしていました。

当時は、先輩についていくのに必死で、ストレスを感じる暇さえなかったと思います。現在はストレスによる病気で休職も増えていますが、昔は、毎日が必死で、病気になる暇さえなかったのです。係長に仕事をさせるなどという恐れ多い考えもないですから、若い時は必死で仕事を覚えていました。

このような昔の思い出に浸るということは、自惚れにもなってしまうのでしょうが、現在の係長クラスを見ていると、係員に対して仕事の指示ができない人が多くなっているように感じます。その理由として、係員に指示して仕事を任せるよりも、自分で仕事をした方が早いし効率的と考えている人、係員も大変そうと思い、遠慮して仕事を指示しない人、係長自身が仕事を理解していないので自分自身で仕事をしないと覚えられないと思っている人などがいますが、いずれも、これは全く間違った考え方です。

係やチーム、組織の意味

組織の中に、係体制やチーム体制があるのは、仕事を組織として責任を持って行うためです。仕事は個人で行うのではなく、係(組織)単位で行なうのです。

個人で仕事をしてしまうと、その人が休暇や出張で不在のときや人事異動でいなくなったときに、致命的なダメージを受けます。個人で行っていた仕事は、他の人がフォローできないので、仕事がストップしてしまうのです。運が悪いと内部牽制が効かず横領などの犯罪まで招いてしまいます。

時々、マスコミなどで横領事件が報道されますが、その原因は、ひとりで会計経理を長い間担当していたため、他の誰もがチェックできなかったという、個人任せの仕事がほとんどです。これは極めて危険で弱い組織です。

仕事を係で行うということは、係長が係員に対して、仕事の指示を適切に与え、仕事の進み具合を管理し、係全体をコントロールすることです。係員の間でもお互いに仕事を助け合い、お互いの仕事を理解するという協調性も大切となります。係の仕事は、係員誰もが対応できるという組織が強い組織なのです。相手の仕事を手伝うことによって内部牽制機能も働き不正防止にもなります。

新任の係長は、その係の実務を知らない人も多いですが、係長は実務を知る必要はありません。係長は仕事の指示を出し、その進み具合や結果を管理するのです。

部下の指導のコツ

例えば、係員から書類の処理方法について質問があれば、係長が調べて教えるのではなくて、係員へ調べる方法を指示し、その結果を報告させるのです。報告によって係長も知識を得ることができるのです。

本来、わからない仕事を調べるのが係員の役目です。係長が調べて結果を教えてはいけません。それでは係員の教育にならないのです。係長は、わからないことの結果を教えるのではなく、調べる方法を教え指示するのです。

係長が指示をしないと、係員は仕事を覚える機会をなくし、結果的に仕事のできない人に育ってしまいます。勉強する機会を奪ってしまいます。さらに係長が仕事を抱えてしまうと、係全体をコントロールすることが不可能になり、結果的に係の仕事が停滞し、ミスも多くなります。

仕事は楽しく行なうものですが、楽しい仕事とふざけた仕事は違います。楽しい仕事とは、わからない仕事や困難な仕事をやり遂げたときの達成感から楽しさを感じるものです。仕事中におしゃべりに専念するのは楽しい仕事ではなく、それは、ふざけた仕事で何も得られません。

人を育て、本当に楽しい仕事を教えるために、係長は遠慮なくビシビシと係員へ指示を出すべきです。

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